幼美つれづれ草 −第22回− こどもにとってのおばけとは?


最近保育者が丸を描くと中に目や口など顔を描く子がでてきました。
顔のようなものを「アンパンマン!」という子が多かったのが、少しすると「おばけ!」と表現する子が増えてきました。

壁にも顔のようなものをいくつも描いて「おばけ!」
部屋の灯りを消すともう反射的に「おばけ!」
懐中電灯の灯りを見ても「おばけ!」

そもそもこどもにとってのおばけとは何だろう?
そんな疑問がでてきました。
こどもたちのおばけの世界を知りたいとこどもたちの様子を追ってみることにしました。

ある日のこと、

「おばけいるよ!」
「ピピピのおとがおばけだとおもったに」
「おばけあっちいったよ」
「おばけ いたい いたい とんでけーだに!」

2歳のYさんは、何かの音が聞こえてそれをおばけだと思ったことを言葉が途切れることなく興奮した表情で伝えてくれました。

お家でおばけの動画を見て、少しずつ怖さも感じ始めているYさん。夕方暗くなると外に出るのも怖がることがありました。
こどもにとっておばけとは、怖さよりも親しみが湧く存在で、キャラクターのような面白さもあるのかも知れません。

大人は経験をしていく中で、得体の知れないものへの恐怖がうまれ、見えないものへの不確かさや集団心理など体験していく事でイメージが出来上がるのかも知れないなと思いました。

今を生きているこどもたちの想像するおばけの世界は今しかないのだと思います。
そんな貴重な瞬間大切にしたいです!

プロフィール

高田 紀子(たかた のりこ)

こどもなーと摂津保育園 施設長

何も知らずに小規模の保育園なら働けるかもとパートで採用面接を受けたのがこどもなーと摂津保育園。アートって何?こどもの表現とは?とあまりよくわからないままスタートしました。でも1からみんなで考え、行事も無く、なにも無い中で、今までそれはありえないと思っていたこと、たとえば窓や壁に絵を描く、絵の具も大胆に大量に使う、こどものしたい!をすぐに実行する。私の中の保育感がどんどん変わっていくのを感じ、毎日こどもたちと一緒にただただ過ごすことが楽しくて仕方なかったのです。こどもたちの声に耳を澄ます、興味あること、したいことを一緒にとことんやる。それを面白がる仲間がいる。そんな環境で自分の予測を超えた子どもたちの姿を見た時にまだまだ知らないことがたくさんあるなとワクワクしています。