幼美つれづれ草 −第19回− まずは遊びから・・・


入園してくる子どもたちを見ていると、年々「~をしなければならない」「~できていますよ」と大人の目線で育てられている子どもが増えました。そうした流れの中、コロナ感染が収束し、ウイルス感染恐怖症の大人は、子どもの自然な育ちを大幅に束縛しています。

本能のまま自然に育っていると、子どもはまず表出行為(生理学的には反射)をします。大人は、そのしぐさがかわいくて、「まぁかわいい!!」「こんなことするのね!!」・・・と子どもを暖かくつつみこみながら接してゆきます。子どもはこの暖かさを感じ更に伸びてゆくのでしょう。ところが、少子化と共にこの受け入れる気持ちがインターネット等による情報過多の影響で、うちの子どもと周りの子どもとの比較に一喜一憂してしまっています。

3・4年間の幼稚園生活の中で子どもたちに育ってもらいたいのは、「自分の気持ちを素直に発信できる」ということです。表現活動は、その子の「心もち」を発信するのにピッタリの活動です。

当園では、砂場あそびから始めます。「嫌」というのもあり、「よごれる~」というのもあり、「ママに叱られる」というのもあり・・・。どんなことをしても、先生は笑顔で子どもを見守ることです。ただ見守るのではなく、今のその子の発達段階であったり、どんな育ち方をしているのかであったりを見定めることが大切です。子どもは喜々として遊べるようになると、どろんこあそび、新聞あそび、絵の具あそび・・・とあそびのジャンルを広げてゆきます。遊びながら取り組む楽しさを体感してくれればと思っています。

表現活動につながるまでには、まだまだいろんな体験をしてもらおうと思っています。

プロフィール

山下 悦子(やました えつこ)
1946年1月1日生まれ

<学歴>
1969年3月  奈良教育大学教育学部卒業
<職歴>
1969年4月  大阪府立高等学校教諭
1979年3月  同退職
1979年4月  和歌山中央幼稚園 園長 現在に至る

その他
和歌山幼年美術の会 副会長
福音館書店 社外講師
和歌山信愛大学教育学部子ども教育学科 講師
東京大学教育学部KS研究会 会員