幼美つれづれ草　−第13回−　なにを　どのように　みるか

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「造形遊び」は、未知のもの、未知のことに興味を示し、五感・手・身体を使って、それがどんなものなのかを確かめ、知ろうとすることから始まります。特に0,1,2歳児の遊びからは「表現」の原点を実感することができます。

まずは、1分30秒の動画をご覧ください。

あなたは、なにを、どのようにみましたか？　どのようなことを感じましたか？

最初に登場するSちゃんは、撮影時3歳1か月、2番目に登場するMちゃんは1歳3か月です。子育て支援施設で、0,1,2歳児・保護者・学生がかかわりあい、遊び、学び合う「アート体験」が20年間続いています。おもに家庭で子育て中のお母さんや、土曜日などにはお父さんが、子どもと一緒に、いつでも気軽に利用することができます。

「そんなに小さなこどもが、何かを描くの？」と感じるかもしれませんね。大人はこれまでの経験により「アート＝ 作品を作ること」ととらえがちです。保育者からも、「0,1,2歳児の造形って、何を作ればいいの？」という声をよく聞きます。

「何かを」描かせよう、「作品を」作らせようと構える必要はありません。「造形」は形あるものを作ることだけではなく、形や色、素材と「かかわっていく」ことそのものも含み、そのことに大きな意味があります。「何か」になる場合もありますが、ならなくてもよいのです。

ここでは動画の最後のシーンを取りあげてみます。Mちゃんのお父さんの手の動きから、お父さんの心の動きがみえますね。「止めなければ…」「いや、止めない方がよいのか？」…。そして、入れ物から流れ落ちる絵の具の動きを、Mちゃんだけではなく、お父さん、学生がともに目で追っています。お父さんも、学生も、こどもの好奇心を尊重し、こどもの気持ちになって絵の具の動きをみています。数秒間のできごとですが、本当に素敵な場面です。

遊びに没頭していたMちゃんの白い襟に、ピンクの絵の具がついていることが気になり、「大丈夫ですか？」とお父さんに声をかけました。家へ帰ってから、（お父さんが）お母さんに咎められないかと、ちょっとだけ心配になったのです。「洗えばいいから…」と返事が返ってきました。おそらく、お母さんもそう言うのでしょう。その「穏やかさ」が子どもの「安心」につながり、最後の素敵なシーンに凝縮されているように思います。一部始終を学生がみていました。その体験は宝物です。

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『０・１・２ ＡＲＴ』は、金城大学短期大学部幼児教育学科・森田と、美術学科・大場新之助による協働プロジェクトです。乳幼児 の〝ART・あそび〟の魅力と意味、〝ART・あそび〟を「見る」こと・「探る」ことの面白さを、こどもを取り巻く、より多くの大人に伝えたいと願い、20年分の活動の写真約5300枚、学生や保護者が記した言葉などから抽出し、ビジュアルで、伝わりやすく、活用しやすい展示パネル、小冊子、 紹介動画およびインタビュー動画を制作しました。

冒頭の動画は『０・１・２ ＡＲＴ』紹介動画です。
以下から『０・１・２ ＡＲＴ』小冊子をご覧になれます（展示パネルと共通）。
自由にご活用ください。

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