幼美つれづれ草 −第2回− いきなりオンラインにいくまえに


フェイスシールドにクレヨンで落書きしてお面にして遊ぶ。紙コップで糸電話遊び。カーテン越しに影絵遊び、魔法のじゅうたん遊び (自分だけのレジャーシートの上で遊ぶ)、ジェスチャー遊び(ついでに手話で歌ったり、お話したり)・・・ソーシャルディスタンスでも、ワクワクする遊びはどんどん広がります。
わたしは、時々保育園や幼稚園に行ってその場で思いついたことをして遊ぶのが楽しくてたまりません。絵の具遊びとか、新聞遊びとか、空き箱遊びとか、材料や活動の場は限られていても、どんな遊びになるかなんて決まっていません。こどもたちが見つけ出す活動はわたしの思いをはるかに超えています。
そもそも遊びは、何もかも自由ではありません。制限やルールがあるからこそ楽しいのです。不便と不満からしか工夫という楽しい活動は生まれません。
こどもたちは、日々ちょっとした不便と不満の中で成長しています。
一つしかないブランコ、硬くなってしまった粘土、色がそろっていないクレヨン、・・・こどもたちにつぎつぎに立ちはだかる不便と不安、それを乗り越えたときの仲間の温かなまなざし。
コロナ禍での様々な制限の中での大人の大変さをこどもたちに打ち明けてみたらどうでしょうか。
こどもの突拍子もないアイデアは、実現は不可能だとしても、そこから物語が広がります。こどもの心の中の遊び場に大人も飛び込んでみましょう。一旦その楽しさを共有できたら、現実の世界の見方も大きく変わっていくことでしょう。
インターネットによるオンラインにいくまえに、心と心の通い合いと工夫のし合い、大事にしたいですね。

プロフィール

黄瀬 重義(きせ しげよし)

1981年より小学校教師、滋賀大学付属小学校を経て2008年より、公益社団法人甲賀・湖南人権センター「あすぱる甲賀」に勤務。現在は、湖南市総務部人権擁護課に在籍。
福祉と人権のまちづくりについて自由に語る場「かふか夢塾」代表。
滋賀幼年美術の会 会長。
全国幼年美術の会 副会長。
ライフワークは美術活動。
最近では一日一点その日の心の赴くままに絵(「宙画/そらえ」)を描き、FB(Shigeyoshi Kise)にアップしている。